top of page
  • 執筆者の写真養生キッチンふうど

風景を創出する|南インドのバナナの葉のごはんとバナナ畑(世界の風土食6)

更新日:2月9日

エシカルフードライター・料理家の松橋かなこです。このシリーズ企画では、私の活動の根っこにあるバックパッカー時代の経験について語ってみたいと思います。


世界一周旅行での体験と養生キッチンふうどの活動をもとに、「風土食とは何か?」を考えるシリーズ企画。前回(第5回)は「季節の移ろいにより育まれる」をテーマとし、季節の変化に合わせた料理や保存食について紹介しました。


最終回となる第6回のテーマは、風土食の6つの視点のうちの「風景を創出する」。南インドで出会ったバナナの葉っぱの上に盛り付けされた料理とバナナ畑の景観のつながりとともに、現在注力している執筆のテーマについて紹介します。今回は、風土食と風景の関係について考えてみましょう。


※シリーズ企画「世界の風土食」の概要についてはこちらをご覧ください。


南インド、バナナの葉っぱのごはんとバナナ畑


南インドを旅していると、バナナの葉に盛り付けされた料理によく出会いました。南インドでは、バナナの生産が盛んで、バナナの葉も余すところなく活用しています。


バナナの葉は、耐水性や耐熱性、抗菌作用などがあるとされており、カレーなどの料理を乗せるのにもぴったりの素材です。現地では、動物性の食材を使わないベジタリアン料理が多いので、食後はバナナの葉をさっと洗って片付けすることができます。


列車に乗った時も、バナナの葉に包まれたお弁当(ごはんに数種類のカレーが添えられたもの)に出会いました。車窓からバナナ畑を眺めながら、バナナの葉のごはんを食べていると、周囲の自然環境に自分自身が溶け込んでいくような感覚になりました。

@養生キッチンふうど

現地の人たちはカレーを食べ終えると、車窓からバナナの葉をポイッ。。。その光景を見た時に思わず「捨ててしまっていいの?」と言いたくなりました。後で確認したところでは、「バナナの葉が分解されて土に還っていくから大丈夫」なのだとか(その真偽はよく分かりませんが…)。


インドのミルクティー「チャイ」と紅茶畑

続いて紹介するのはインドの定番の飲み物、チャイ。紅茶の葉をミルクで煮出して作る、ミルクティーです。カルダモンや生姜など、季節や体調に合わせてスパイスをブレンドします。


インドを旅していると、どこに行ってもチャイを売るスタンドを見かけました。ちょっとした軽食にもおやつにも、チャイが飲まれています。

@養生キッチンふうど

旅の途中で紅茶畑にも立ち寄りました。山の斜面にどこまでも広がる、茶畑。熱い太陽の光が、さんさんと茶畑に降り注ぎます。チャイの茶葉はここで育てられていると思うと、しみじみと感慨深い気持ちになりました。


観光客の姿は私たち以外にはどこにも見当たらず、現地の若者からは「何をするために来たの?」と不思議がられていましたが(笑)。


「風土食×風景のつながり」を描写する

風土食と風景は深いところでつながっているー。インドのバナナの葉とバナナ畑、チャイと紅茶畑のように、生産する風景があるからこそ私たちはその食材を享受できるのではないでしょうか。


現地の人にとってはよく見慣れた当たり前の風景かもしれませんが、実はとても貴重な風景であり、後世にも伝えていきたい風景ではないかと思っています。

現在、ふうどでは執筆活動を中心に行っていますが、「風土食と風景のつながり」を描写することを常に意識しています。


たとえば、ライターを務めている「日本文化の入り口マガジン和樂web」で以前に執筆した、銀杏(ぎんなん)の記事もそのひとつ。愛知県祖父江町は全国でも有数の銀杏の生産地ですが、秋になるとイチョウの黄葉が美しいことでもよく知られています。


この記事では、銀杏など食材の食べ方やレシピだけを伝えるのではなく、その土地の風土や風景も一緒に紹介したいと思いながら、現地を取材して執筆を進めました。現地で出会った樹齢300年のいちょうの大木の迫力や、手で幹に触れた時の温かさは、今も忘れずに覚えています。


風土食を守ることは、風景を守ること

風土食と風景は深く結び付いており、風土食を守ることは、その土地ならではの風景を守ることにもつながります。


第1回~第5回の「世界の風土食」連載記事で書いてきたように、風土食は自然環境や歴史、コミュニティなどのいろいろな要素のなかで生まれます。長い時間をかけて継承されてきたとしても、一度失われてしまった風景は、残念ながらそう簡単に回復することはできません。


こうした気付きをもとに、養生キッチンふうどでは「風土食のことをのこす、つくる、伝える」活動をしています。できるだけいろんな人を巻き込みながら、風土食の活動を楽しく続けていきたいと思っています。風土食について、ぜひ一緒に考えてみませんか。


☆連載記事「世界の風土食」は今回で終わりです。ありがとうございました!これまでの記事については、風土食の6つの視点からご覧ください。

 

養生キッチンふうど

~キッチンから人と地球にやさしい暮らし~

URL https://www.kitchenfudo.com/


愛知県を拠点に、風土食をのこす、つくる、伝える活動をしています。

現在は子育てをしながら、エシカルフードライター・料理家として記事を執筆中。


【食や料理に対する想いやエピソードを文章にしてみませんか?】→

風土食、食×環境、エシカルに関する取材・インタビュー記事を制作しています。

ブログの感想や、仕事のご相談・ご依頼などお問合せはこちらから お願いいたします。

 




閲覧数:114回0件のコメント
bottom of page