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季節の移ろいにより育まれる|ぶどうの葉で包む料理「サルマーレ」(世界の風土食5)

最終更新: 5月24日

世界一周旅行での体験と養生キッチンふうどの活動をもとに「風土食とは何か?」を考えるシリーズ企画。第4回は「自然環境や気候から生まれる」をテーマとし、風土食の根っこについて考えました。


続いて第5回のテーマは、風土食の6つの視点のうちの「季節の移ろいにより育まれる」。ぶどうの葉を使ったルーマニア料理やリトアニアの保存食づくりとともに、ふうどで以前開催していた「養生ごはん教室」「暦暮らし教室」を紹介しながら、風土食について考えてみましょう。


※シリーズ企画「世界の風土食」の概要についてはこちらをご覧ください。


ぶどうの葉で包んだルーマニア料理「サルマーレ」

中欧・東欧諸国では、いろいろな種類の煮込み料理やスープをいただきました。そのなかでも印象的だったのが、ルーマニアで食べた「サルマーレ」。ロールキャベツにもよく似た料理です。


サルマーレはミンチ状になった肉と酢漬けにした野菜をぶどうの葉で包み、スパイスの効いたトマトソースと一緒に、葉が柔らかくなるまでじっくりと煮込んで作られます。キャベツや玉ねぎなどの酢漬けを使うため、酸味の効いた仕上がりです。お米を包む場合もあり、家庭ごとに独自のレシピがあるようです。


ぶどうの葉を食べたのはルーマニアが初めてでしたが、ほのかな香りと苦味がありとてもおいしかったです。ぶどうの葉が手に入らない場合には、キャベツの葉で作ることもあるのだとか。

現地を訪れて初めて知ったのですが、ルーマニアの冬は大変厳しく、冬に備えて保存食づくりが盛んに行われています。代表的なものとしては、サルマーレに使うような野菜の酢漬けのほか、トマトを煮込んだトマトソース「ザルザバ」、果物を煮たジャムやコンポートなど。今でこそ冬の間も野菜が店頭に並ぶようになりましたが、かつては保存食を食べて冬を越していたそうです。


サルマーレは、こうした保存食を使って作った風味豊かな料理。季節の移ろいや時間の経過もまた、その味わい深さにつながっていると感じました。


リトアニアの保存食と手作りを楽しむ暮らし

@養生キッチンふうど

現地に行って初めて分かることは多いですが、そのなかでもリトアニアの暮らしにはとても興味を持ちました。リトアニアはバルト三国のひとつで、豊かな自然に恵まれています。ルーマニアと同様に、厳しい冬に備えて保存食づくりが盛んです。


リトアニアでは、郊外に「サマーハウス」と呼ばれる別宅を持っている人も多く、短い夏の間はこのサマーハウスで過ごします。そこでベリーやきのこを収穫し、保存食を作って楽しみます。私が訪れた時には、現地の人が摘んだばかりのベリーを試食させてくれました。甘味と酸味がギュッと凝縮していて、とてもおいしかったことを思い出します。

リトアニアの主食は、酸味の効いたライ麦パン。パン焼き窯の隣には、採集したハーブや木の実などが干されており、窯の熱を効率良く活用している様子も見られました。また、肉の燻製料理や塩漬け、酢漬けなどもよく作られています。


厳しい冬に備えて作る保存食が、心も体も満たしてくれるー。現地の保存食を眺めたり味わったりしながら、そんなふうに感じました。


旬の食材を大切にして、料理や保存食をつくる

ふうどでは、2014年~2020年の間「養生ごはん教室」「暦暮らし教室」を開催してきました。教室でいつも心掛けていたのは、「旬の食材を大切にして、料理や保存食をつくる」ということ。これは、先に紹介したルーマニアやリトアニアなど旅の経験も深く関わっています。


たとえば梅雨は、梅や紫蘇、みょうが、新生姜などを使った料理や保存食をよく紹介していました。旬の食材を使って保存食を作っておくと、忙しい時にもとても心強く、次の季節も心身を健やかに保つことができます。

@養生キッチンふうど

春先の暦暮らし教室では、「身近な野草を摘んで食べてみよう」「摘んだ野草で野草茶を作ってみよう」という話のなかで、試食とともにその作り方もお伝えしました。教室がおわった後で「子どもと一緒に野草を摘んで味わってみた」「初めての体験だったけれど、おいしくて楽しかった」というメッセージをいただくこともありました。


お金を出せばいろいろなものが簡単に手に入る時代ですが、実際に手を動かして得られた食材や自身で心を込めて作った料理や保存食には格別の味わいがあります。


保存食のなかには作ってすぐに食べるものだけでなく、時間を置くものもあります。「できあがりを楽しみに待つこと」もまた、心身を癒してくれるように感じます。


季節の移ろいによって育まれる食を伝えていく

季節の移ろいによって育まれる食ー。今回は、ルーマニアのサルマーレやリトアニアの保存食とともに、「養生ごはん教室」「暦暮らし教室」での想いなどを紹介しました。


季節の移ろいによって育まれる食には、何ともいえない味わい深さがあります。また、保存食などを作るゆったりとした時間は、私たちを心の底から癒してくれるのではないでしょうか。


こうした気付きをもとに、養生キッチンふうどでは「風土食のことをのこす、つくる、伝える」活動をしています。風土食について、ぜひ一緒に考えてみませんか。


☆最終回(第6回)のテーマは、「風景を創出する」。引き続き、風土食の6つの視点から、風土食について考えます。

養生キッチンふうど

愛知県を拠点に、風土食をのこす、つくる、伝える活動をしています。

URL https://www.kitchenfudo.com/

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