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自然環境や気候から生まれる|サハラ砂漠のミントティー(世界の風土食4)

最終更新: 5月19日

世界一周旅行での体験と養生キッチンふうどの活動をもとに「風土食とは何か?」を考えるシリーズ企画。第3回は「コミュニティや文化をつくる」をテーマとし、風土食の広がりや役割について考えました。


続いて第4回のテーマは、風土食の6つの視点のうちの「自然環境や気候から生まれる」。サハラ砂漠(モロッコ)のミントティーや、タラトール(ブルガリア)やガスパチョ(スペイン)のスープ、メニュー監修をしていたカフェ・アルキペラゴさんでの想いなどを紹介しながら、風土食について考えてみましょう。


※シリーズ企画「世界の風土食」の概要についてはこちらをご覧ください。


酷暑のサハラ砂漠で、ミントティーに癒される

心身が疲れている時に自身を癒してくれた食べ物は、時間が経っても記憶に残りやすいもの。11カ月に及ぶ世界一周旅行のなかで、そんな食べ物に何度か出会いました。そのひとつが、酷暑のサハラ砂漠で飲んだミントティーです。

サハラ砂漠の気候は?

サハラ砂漠は、北アフリカ大陸に位置しており、約11カ国にまたがっています。私自身は、モロッコのメルズーガという町から砂漠にアクセスしました。


メルズーガは、典型的な砂漠気候。砂漠ときくと「一日中暑いのでは?」と思う人もいるかもしれません。です実際には、夜は上着が必要になるほど冷え込みます。昼夜の寒暖差が激しいのが大きな特徴です。


私の訪れた7月は、なんと最高気温40度を超える酷暑! 昼間はただそこにいるだけで、身体が溶けてしまいそう。身の危険を感じるほどの暑さでした(世界一周旅行のルート計画上、私はこの時期に訪れましたが......ガイドブックなどには「6~8月は避けるように」と書かれていることが多いです)。

@養生キッチンふうど

サハラ砂漠を、ラクダに乗って歩きました。ラクダでの散歩は、早朝にスタート。太陽が昇って気温が高くなり始めた頃に終わります。


見渡すかぎり、どこまでも砂、砂、砂...という風景が広がっています。土は乾燥しており、植物の姿はほとんど見当たりません。

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途中で、オアシスにも立ち寄りました。真っすぐに通った水路の両側に、ヤシなどの植物が育っています。久しぶりに植物の姿を見たような気がして、何だかホッとしました。


オアシスは、もともと「砂漠のなかで水が湧き植物が生えている緑地」という意味。そこから派生して「憩いの場」「安らぎの場」という意味もあります。私たちサハラ砂漠でオアシスを訪問して、この言葉の深さを実感しました。

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ちなみに、サハラ砂漠は、小説「星の王子さま」が生まれるきっかけとなった場所でもあります。著者であるフランスの作家・サンテグジュペリは、元飛行士。自身がサハラ砂漠に不時着した経験から、この小説を書いたのだとか。


星の王子さまの名言のひとつに「大切なことは、目に見えない」があります。どこまでも続く、砂の風景。少し現実離れしたようなこの風景を眺めていると、名言の意味がそれとなく分かるような気がしました。


モロッコ流ミントティーとは

さて前置きが長くなりましたが(笑)、酷暑のサハラ砂漠で飲むモロッコ流ミントティーは、暑さで疲れた身体をやさしく癒してくれました。爽やかな香りとほのかな苦味、ほんのりとした甘さがスーッと身体の奥に染み渡ります。


ミントは、繁殖力が強く、乾燥した土地でも育ちやすいハーブです。砂漠のなかでミントが育ち、ミントティーとして人々を癒しているのは、まさしく「自然の神秘」であると感じました。現地のミントティーは、自然環境や気候のなかで生まれた風土食といえるでしょう。

せっかくなので、モロッコ流ミントティーの作り方をご紹介しますね。


日本でミントティーといえば、ミントの葉っぱ(生・乾燥)に熱湯を注いで、数分待ったものを指すことが多いです。それに対して、モロッコのミントティーは、中国緑茶とスペアミント(生)、角砂糖を煮出して作ります。


できあがったミントティーは、高い位置からグラスに注ぎます。ポイントは、グラスの端に泡が立つようにすること。サハラ砂漠に暮らす家庭でミントティーをいただきましたが、用ミントティーを淹れる一連の様子も、とても興味深かったです。


ブルガリアのヨーグルトスープ「タラトール」

続いてご紹介するのは、ブルガリアの伝統的なスープです。ブルガリアといえば、ヨーグルトを古くから作っている国としてよく知られています。


日本では甘く味付したデザート向きのヨーグルトが多いですが、ブルガリアではいろいろな料理にヨーグルトを使います。夏の定番料理のひとつが「タラトール」と呼ばれるヨーグルトスープです。

@養生キッチンふうど

タラトールは、刻んだキュウリにヨーグルト・水を加え、塩で味付けをします。お好みで、すりおろしたニンニクやくるみ、黒コショウ、刻んだディル、オリーブオイルを加えます。簡単に作れて、適度にクールダウンできるので、夏の暑い時期にもぴったりです。


代表的な家庭料理なので、各家庭によっていろいろなレシピがあるのだとか。このタラトールは、現地で古い歴史を持つヨーグルトを、気候に合わせて活用した風土食といえそうです。


スペインの冷製スープ「ガスパチョ」

スペインで出会った冷製スープ「ガスパチョ」もまた、強い陽射しで火照った身体を心地よく癒してくれました。夏野菜がたっぷり使われているので、現地では、食欲が落ちがちな夏場の栄養補給としても親しまれています。

ガスパチョとは、スペイン・アンダルシア地方で生まれた伝統的なスープのひとつ。夏の家庭料理とされていますが、紙パックなどに入ったものをスーパーなどでもよく見かけました。


ガスパチョに使う材料は、完熟トマトやきゅうり、ピーマン、玉ねぎなどの夏野菜と、バケット少々。家庭によってさまざまな味付けがありますが、塩やオリーブオイル、酢、にんにくなどを加えます。


ミキサーを使うとあっという間に完成!作り置きもできるので、まとめて作っておくと、夏バテ気味の時や忙しい時にも大助かりです。


現地で入手できる旬の野菜や調味料を使った、栄養たっぷりのガスパチョ。ガスパチョは、暑い夏を乗り切る心強い見方です。このガスパチョもまた、自然環境や気候から生まれた風土食のといえそうですね。


ガーデンカフェ「アルキペラゴ」さん、メニュー監修への想い

自然環境や気候から生まれる食。その在り方はシンプルでありながら、私たちの心身をやさしく癒してくれます。この視点は、カフェのメニュー監修のなかで強く意識していたことのひとつです。

2016年2月~2019年12月までの約4年間、愛知県長久手市にあるgarden and cafe Archi-Pel-Ago(アルキペラゴ※)さんにて、薬膳の考え方を取り入れた「養生ごはんランチ(月替わり)」のメニュー監修をしていました。


※garden and cafe Archi-Pel-Ago(アルキペラゴ)さん

外構・景観設計の会社ブルームアンドブルームに併設するガーデンカフェ。天気のいい日には、テラス席での飲食も楽しめる。2021年1月よりリニューアルオープン。

URL https://archi-pel-ago.com/


養生ごはんランチは、一汁三菜に小さなデザートとお茶が付きます(季節によって若干変更はあり)。カフェのスタッフの皆さんと試食会を毎月開催して、メニューを決めます。


上の写真は、夏野菜をたっぷり使った8月のランチ。愛知県の伝統ある赤味噌と旬のトマトを組み合わせた「プチトマトの赤出汁」を添えています。赤味噌は、一般的に長期間熟成して作られており、栄養がたっぷり。「食欲が落ちがちな夏場にこそ、赤味噌を食べてもらいたい」という想いから生まれたメニューです。酸味の効いた味噌汁は、お客さまにも好評でした。

メニュー監修で大切にしていたことは、食を通して、自然や気候と寄り添う暮らしを伝えていくこと。たとえば、ランチを食べた人がそのエッセンスを自宅で取り入れられるように、簡単レシピをSNSで公開するなどの工夫もそのひとつです。


カフェを利用した方から「どんよりしていた気持ちがスーッと軽くなった」「心も身体も満たされた」というメッセージをいただくこともしばしば。季節を意識した養生ごはんや、自然に寄り添う暮らしの必要性を感じることもよくありました。


自然環境や気候から生まれる食を伝えていく

自然環境や気候から生まれる食ー。今回は、モロッコのミントティーやブルガリアのタラトール、スペインのガスパチョの事例とともに、カフェ・アルキペラゴさんでのメニュー監修での想いをご紹介しました。


自然環境や気候から生まれる食は、シンプルでありながらも、人々をやさしく癒してくれます。自然との距離が遠くなり、季節を感じることが少なくなりつつある昨今。でも食を少しずつ見直すことで、自然環境や気候に寄り添い、心身の調子を整えることができるのではないでしょうか。


こうした気付きから、養生キッチンふうどでは「風土食のことをのこす、つくる、伝える」活動をしています。風土食について、一緒に考えてみませんか。


☆次回(第5回)のテーマは、「季節の移ろいにより育まれる」。引き続き、風土食の6つの視点から、風土食について考えます。

養生キッチンふうど

愛知県を拠点に、風土食をのこす、つくる、伝える活動をしています。

URL https://www.kitchenfudo.com/

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