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コミュニティや文化をつくる|アジアの屋台が生み出すもの(世界の風土食3)

最終更新: 4月28日

世界一周旅行での体験と養生キッチンふうどの活動をもとに「風土食とは何か?」を考えるシリーズ企画。第2回は「地域ごとに伝承される」をテーマとし、その地域と食との関わりや食が果たす役割について考えてみました。


続いて第3回のテーマは、風土食の6つの視点のうちの「コミュニティや文化をつくる」。これまでとは視点を少し変えて、風土食を取り巻くさまざまなモノ・コトに注目します。


アジアの屋台やフランスのカフェ、トルコなど各国の市場の様子、風土食ノート、味噌づくり会での気付きなどを紹介しながら、風土食について考えてみましょう。


※シリーズ企画「世界の風土食」の概要についてはこちらをご覧ください。


アジアの屋台が生み出すものは?

アジアの国々を旅していると、いろいろな場面で屋台を見かけます。ベトナムの場合でいえば、「フォー(米麺)」や「バインミー(ベトナム版サンドイッチ)」などの食事系から、「カフェスア(ベトナムコーヒー)」や「チェー(ココナッツミルク入りぜんざい)」などのお茶や甘味系を提供するお店なども。屋台の種類は、バラエティーに富んでいます。

それぞれの屋台の周りには、プラスチック製などの小ぶりなテーブルとイスが置かれており、そこで食事や飲み物を楽しむ人々の姿もありました。


時間の変化や人の動きやに合わせて、屋台が移動したり、提供する飲食物の内容が変わったり。どんどん変化していく様子を眺めるのも、興味深いものです。

@養生キッチンふうど

日本では屋台といえば「お祭りやイベントの時に利用するもの」というイメージも強いかもしれません。それに対して、ベトナムなどアジアの国々では、屋台は暮らしの一部になっており、日々の生活に溶け込んでいます。


海外の旅人であっても、食べたいものをジェスチャーなどで注文できます。私もよく屋台を利用していました。屋台は、地元の人とのコミュニケーションや、現地の食文化を知るのにもぴったりの場所です。


つまり屋台は、飲食物を提供するだけの場所ではありません。屋台を通して、その地域のコミュニティや食文化を保ち、広く伝えていく役割を果たしているのではないでしょうか。


フランスのカフェがつくるコミュニティ

ヨーロッパの国々では、おしゃれな喫茶店をよく見かけました。私たちがよく使う「カフェ」という言葉は、フランス語。もともとはコーヒーそのものの意味でしたが、現在は「コーヒーが飲めるお店」という意味に変わってきたのだとか。


ちなみに、コーヒーや軽食を楽しめるお店は、スペインでは「バル」、イタリアでは「バール」と呼ばれています。呼び方はそれぞれ違っても、コーヒーを飲みながら、仲間との会話を楽しむ様子は、とてもよく似ていると感じました。


コーヒーそのものの味わいだけでなく、会話や雰囲気を楽しむという点では、アジアの屋台にも共通する部分がありそうです。カフェもまた、コミュニティや食文化をつくる大切な存在といえるのではないでしょうか。


市場から見えてくるもの

世界一周旅行では、その地域の市場を訪ねるようにしていました。市場へ行くと、その国でよく食べられているものが一目で分かります。気になる食材があれば、自分の目で確かめて、その場で購入することもできます。

@養生キッチンふうど

上の写真は、トルコの市場の様子。トルコはその立地から、東西の食文化が混ざり合っています。多様な食材や味付け、調理方法を持つことでも知られています。いろいろなスパイスが並んでいる様子を眺めるだけでも、その多様性が伝わってくるかもしれません。

市場を歩いていると、珍しい食材に出会うこともあります。写真はベトナムの貝のお店ですが、メキシコでは食用サボテンのお店も見かけました。市場を訪ねることで、現地の食文化をそれとなく知ることができます。


私が物珍しそうに眺めていると「一口食べてみる?」と聞かれ、味見をさせてもらうこともしばしば。(もちろん衛生面が心配な時は遠慮しますが)味見をすることで、新しい味や食文化に出会うことができます。


市場もまた、単に食材などを購入する場所ではありません。その土地ならではの食材を通して、コミュニティや食文化が保たれ、広がっていく場といえそうです。


「風土食ノート」から、味噌づくり会への想い

風土食は、「コミュニティや食文化をつくる」もの。この視点は、2015年11月に発行した「豊田市足助町で見つけた、シンプル風土食ノート(※)」にもつながっています。

@養生キッチンふうど

このプロジェクトは、「食を通して、人や地域がつながるきっかけができれば」という想いからスタートしました。地元の方に聞き書きをしたレシピを、小さな冊子にまとめています。


※「豊田市足助町で見つけた、シンプル風土食ノート」

詳細はこちらをご覧ください(冊子の中身もご覧いただけます)

冊子制作がきっかけで、いろいろなご縁が生まれました。そのひとつが、地元の人と一緒に仕込む「味噌づくり会」。味噌づくり会は4年間連続で開催し、毎年キャンセル待ちが出るほど大好評でした。


上の写真は、大きな鉄鍋で煮た大豆。これを杵(きね)と臼(うす)ですり潰し、麹と混ぜていきます。参加したメンバーみんなで協力し合い、味噌を仕込みます。仕込みが終わった後は、五平餅やしし鍋など、現地の料理でランチ会。料理が疲れた身体に染み込み、会話がはずみます。

@養生キッチンふうど

みんなで作った味噌は、毎年同じように仕込んでも、ちょっとした加減や気候などによって味が変化します。「今年のはおいしくできたよ~」「そっちのはどう?」といったやりとりも、とても楽しいものです。


きっと一昔前までは、こうした風景が全国のあちこちで見られたのではないでしょうか。実際に開催してみて、味噌づくりは、地域のコミュニティや食文化を守り、伝えていく役割も果たしてきたのでは、と感じるようになりました。


コミュニティや食文化を守り、伝えていく

風土食は、コミュニティや食文化をつくるもの。今回は、アジアの屋台やフランスのカフェ、市場の様子とともに、風土食ノートや味噌づくり会の気づきをお伝えしました。


風土食の魅力は、単なる味わいだけではありません。その背景に、地域のコミュニティや食文化が深く関わっています。風土食を上手く活用すれば、失われつつあるコミュニティや食文化を守り、伝えていくことができるでしょう。そんな切り口からも、風土食のことをぜひ一緒に考えてみませんか。


☆次回(第4回)のテーマは、「自然環境から生まれる」。引き続き、風土食の6つの

視点から、風土食について考えます。

養生キッチンふうど

愛知県を拠点に、風土食をのこす、つくる、伝える活動をしています。

URL https://www.kitchenfudo.com/

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